勝念ブログマイスペース(A.ｂМyＳ)

2021.05.12 Wednesday

生物の大量絶滅の原因の必要かつ十分条件とは

　生物の絶滅と進化の普遍的プロセス
　恐竜絶滅ふ化不可説の発展(2)

　　生物の大量絶滅の原因の必要かつ十分条件とは
　過去に生物が大量に絶滅したとされる時期は1 冥王代(40億年前) 2 原生代(25億年前)　3 原生代末(5.4億年前)　4 カンブリア紀末(4.9億年前)　5 オルドビス紀末(4.44億年前)　6 デボン紀後期(3.74億年前)　7 ペルム紀末(2.51億年前)　8 三畳紀末(1.966億年前)　9 白亜紀末(0.6650億年前)と九回あったとされています。この内恐竜の絶滅があったのは白亜紀末(6650万年前)の大量絶滅の時です。顕生代に起こった5から9までは特に規模が大きく大量絶滅のビッグファイブと呼ばれています。ところで、この九回の大量絶滅の原因に関し二つの立場があります。一つは九回の大量絶滅の原因は同じであって九回の大量絶滅には時系列的一貫性があるとする立場です。恐竜絶滅ふ化不可説はこの立場をとっています。それに対し、現在の生物学により提出されている大量絶滅の原因はそのほとんどがその大量絶滅が起きた直前の出来事が原因としていて九回の大量絶滅には時系列的一貫性があるという立場は取っていません。例えば、白亜紀末に起こった大量絶滅の最も有力な説はメキシコユカタン半島に衝突した巨大な隕石だとされています。また、ペルム紀末に起こった大量絶滅の最も有力な説とされるのはシベリア・トラップと呼ばれる火山岩から推測されるシベリアに起こった一連の火山の大噴火だとされています。更に、三畳紀末に起こった大量絶滅もインドで始まった大規模な火山の噴火が原因とする説が有力です。ただ火山の噴火には時系列的一貫性が全くないわけではないないのですがそのことには余り言及されていません。ところで、九回の生物の大量絶滅の原因に関し、時系列的一貫性があるとする立場を取るにしても絶滅が起きた直前の出来事が原因とする立場を取るにしても、両者には共通の問題があります。それは以下に記す四点を具体的かつ明確に説明しなければならないことです。その四点とは次の四点です。それを白亜紀末に起こった大量絶滅を例に説明します。
　第一点は、その大量絶滅の前後で生物の生存する自然環境は変化したのか変化しなかったのか、また、変化したとするならその原因は大量絶滅の原因と同じか異なるのか、もし異なるとしたら環境を変化させた原因が大量絶滅の原因ではないのか。
例、白亜紀と古第三紀とでは生物の生存環境に違いはあるのかないのか。その原因は　　　中生代(三畳紀　ジュラ紀　白亜紀)と新生代(古第三紀　新第三紀第四紀 ) とでは生物の生存環境に違いはあるのかないのか。もし異なるとしたら環境を変化させた原因は。
第二点は、その大量絶滅の前後で繁栄する生物が大きく入れ替わっています。その理由を絶滅の原因と同じ原因で説明できるのか。出来なければその原因はなになのか。その原因が本来絶滅の原因ではないのか。
例、白亜紀では恐竜(爬虫類最大の生物)が大繁栄し古第三紀ではゾウ科(哺乳類最大の生物)のマンモスや象などが大繁栄しています。
中生代では植物の裸子植物が、動物では三畳紀とジュラ紀には体外卵生の魚竜と首長竜が、ジュラ紀と白亜紀にはやはり体外卵生の恐竜が大繁栄しています。一方新生代では植物の被子植物が、動物では古第三紀には哺乳類(体内卵生)の象科の動物が、新第三紀には同じ哺乳類のウマ類の草食動物やネコ類の肉食動物が、第四紀にはやはり哺乳類の霊長類などの雑食動物が繁栄しています。また、体外卵生でも鳥類や昆虫類も大繁栄しています。特に昆虫は中生代・新生代を通じ繁栄し現存する動物の60％を占めます。
第三点は、大量絶滅の時には多く生物が絶滅しています。従ってある原因がある生物の絶滅の原因とするならばその時に絶滅した他の生物の絶滅の原因であることも説明する必要があります。もし同じ時に絶滅した他の生物の絶滅の原因が違うならばその原因がある生物の絶滅の原因ではないことを説明する必要があります。
例、白亜紀末の絶滅では恐竜以外にも動物では代表的なものとしてアンモナイトが絶滅しています。また、植物では一部のシダ類と裸子植物のイチョウ類の多くが絶滅しています。従って、その絶滅が恐竜の絶滅の原因と同じものであることを示す必要がありま。
第四点は、大量絶滅と言ってもすべての生物が絶滅するわけではありません。ある程度の生物は絶滅から免れ生き残ります。その絶滅から免れ生き残った生物の中に絶滅した生物の分岐前の生物や絶滅した生物から分岐した生物が生き残っていたればその理由を説明する必要があります。
例、恐竜は白亜紀末に絶滅しました。しかし、その分岐前の爬虫類の亀類やワニ類も恐竜の子孫とされる鳥類も生き残り現存しています。
アンモナイトも白亜紀末に絶滅しましたがアンモナイトの亜種とされるオオムガイは生き残っており、オオムガイよりアンモナイトに近い亜種のイカ類やタコ類も生き残っています。特にタコ類はアンモナイトから分岐した生物の可能性もあります。
植物のシダ類も多くは生き残り裸子植物も常緑樹とイチョウ類の一部、被子植物は全部生きのこっています。
　少なくとも上記四点を説明できなければある生物の絶滅の原因だとか大量絶滅の原因だとかとするには甚だ不完全でしょう。そして、間借りなりにでもそれが出来るのは恐竜絶滅ふ化不可説だけだと思っています。もともと生物の大量絶滅の原因の必要かつ十分条件などを整えることなど不可能です。たた、上記四点を完全に説明できればそれに近い状態だと思います。